不動産投資市場では、借地権付き物件が売りにだされていることがあります。
購入価格が安いため、比較的利回りが高いことも多く、魅力的に感じられるかもしれません。
しかし、借地権付き物件には気をつけたいデメリットも存在します。
借地権とは
借地権とは、他人から借りた土地に建物を建てる権利のことです。
借地でも所有権を持つ土地と同様に、建物を貸し出すことも可能です。借地権付きの土地に家を建てる場合、地主へ地代を支払う必要があります。
ちなみに青空駐車場や資材置き場といった、建物の所有が発生しない場合は、借地権に該当しません。
不動産広告で一戸建て住宅のチラシには「所有権」もしくは「借地権」の記載があり、前者は「土地・建物すべてを所有する権利」に対し、後者は「建物は自分のもの、土地は借りているもの」を指します。
もっと詳しくは▶「借地権とは?」借地権の種別やメリットデメリット等を解説!
借地権の種類
借地権と一言で言っても、種別により意味合いが異なってきます。そもそも借地権は土地の所有者であり、土地を貸している地主よりその土地を借りている借り主に有利な内容でした。借地人を保護する意味合いが強すぎたため、土地を貸そうという地主のメリットは大きくありませでした。そこで借地権は旧借地法と新借地法に区分し改正していったのです。また新借地法には普通借地権と定期借地権があり、その中身を詳しく見ていきましょう。
旧借地法
平成4年7月以前の旧借地法による借地権です。
特徴としては借主の権利が強く、契約期間が満了しても建物が存在している場合、正当な事由がない限り、地主は契約延長を拒むことができません。
普通借地権
平成4年8月に施行された借地借家法で定める借地権です。旧借地法と同様に地主は正当な事由がない限り、契約延長しなければなりません。
定期借地権
借地借家法における借地権の多くは定期借地権を指します。
存続期間は50年以上ですが、法定更新ができず、契約期間満了時には土地を更地にして地主に返さないといけません。
借地権付き物件のメリット
借地権付き物件で賃貸経営を行うには以下のようなメリットがあります。
初期費用を抑えられる
借地権付き物件は、所有権の物件より価格が安いことが多いといえます。
東京都だと借地権割合が60~70%に設定されており、通常の所有権より安く購入できる可能性があります。
運用利回りを上げられる
借地権付き物件であっても、家賃収入は立地や築年数などの相場から決まるので、所有権の物件と変わりません。
初期費用を抑えられると考えると、所有権の物件より運用利回りを上げることができるといえます。
借地権付き物件のデメリット
ローンの融資が受けにくい
金融機関で不動産の担保を評価する場合、借地権は所有権より低くなる傾向にあります。
そのため、融資そのものを受けられない可能性も。
ただし、借地権付き物件のローンを取り扱う金融機関もあるので、受けられないというわけではありません。
売却や増改築の際、地主の承諾が必要
借地権付き物件を売却や増改築する場合、地主の承諾が必要になります。
譲渡しても地主に不利とならない場合は、借地借家法によって裁判所が承諾許可を与えると定められていますが、地主との交渉や裁判手続きには手間と時間がかかります。
借地権付き物件で不動産投資を行う場合、長期間の運用を念頭において慎重に検討するようにしましょう。
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